最近当院の透析室で穿刺をした後の針をどのように廃棄するのか? について考える機会がありました。

当院のスタッフは他院で豊富な経験を積んできた者が多く、それぞれ手技に違いが存在しています。

その為、穿刺針の好みが違っていたり針のリキャップが普通だったりリキャップが怖くて仕方なかったりしていました。

アプローチを2つの方向から見直して一つの結論に達しています。

アプローチ その1

針を捨てる為の導線はシンプルにするべきだと考えます。

まずは安全対策でリキャップを全面的に無くそうと廃棄用BOXを色々と集めてみました。
(写真1)
一般的に流通しているものには大・中・小と様々な商品が有ることがわかりますね。
容量は1L位から4Lまで様々です。

安全型穿刺針・弁付き安全型穿刺針は針先をカバーする機構が付いているため廃棄する時、針先を恐れる必要はありませんのでそれ以外の針用という事になります。

では使い方を見てみましょう。
(写真2)
青色で囲まれたところで針をシリンジから外すことが出来ます。
十字形の下の所はルアースリップ式の針を外すところ
十字形の左右はルアーロック式の針を外すところになっています。

透析室で使用する穿刺針はルアースリップ式でシリンジと繋がっていますね。
ですから十字型の下の部分を使用します。

これがほんとに使いづらい!!

これらの針廃棄BOXは針を外すのに両手が必須です。箱を固定することにも手が必要なんです。
しかしシリンジタイプ使用時は穿刺時血管を押さえる必要があります。
このため針を外す時に片手しか使えないのですよ。
片手で針を外すのは現実的ではないです。わかっていただけますか?

だからシリンジごと投入口から放り込むことになります。
クランプタイプ穿刺針を使用すると両手が使えますがそもそもシリンジを外す必要がありません。
(写真2)を見て下さい。針とシリンジが混在しているのが見えますね。

透析室で働き穿刺をする瞬間スタッフは職人のツラ構えになります。
集中力はピークに達します。まるでアスリートがゾーンに入っているかのようです。
針が血管に入った後はピークアウトします。ちょっと集中力は切れ気味です。
このタイミングで針を捨てる訳ですが、習慣っていうのは恐ろしいもので、目の前のキャップに鞘に刀をおさめるが如くリキャップしてしまうのです。

ではどのように考えればリキャップを無くせるのでしょうか?

それは針を捨てる箱がそばにあり、さらに可能であれば血管と同じ視野にあるのが理想です。

そこでこんな風に廃棄BOXを置いてみました。
(写真3)
このように血管と同じ視野に入れておけば導線がスムーズになり非常に捨てやすくなります。

キャップを探すよりBOXの口に放り込む方がずっと楽です。
なのでこのBOXをベッドの側に置いておくためのホルダーを開発しようと思いました。

アプローチ その2

廃棄BOXに放り込んだ針が牙をむくように見えます。

次の写真を見て下さい。(先端が怖いので写真は小さくしてます。平気な人はタップして下さい。)

(写真4)
廃棄された針が入っています。
写真で分かるように捨て方と震盪(しんとう)によって先端が上を向いてしまっています。
先程集中力のピークアウトについて書きましたが、少し集中力が下がっている時に針を捨てる事になります。
手を近づけた時、針がこっちを向いていたらどうですか?私なら怖くってとても嫌です。

どうしてこんな事になるのでしょうか?
それは針の長さ(シリンジ込み)よりもBOXの方が大きい時に起こります。
ではどうしたら良いのでしょうか?それはBOXのサイズを針の長さより小さくすると解決出来ます。
ちょうど串カツ屋の串立ての様に縦向きに捨ててしまおうという考えかたです。

決して先端が上を向かないそのサイズを基本にBOXを探しました。
(写真5)
見つけたBOXに針を縦向きに捨てるとこんな感じに詰まっていきます。
このBOXはダイソーの商品で穀物保管容器と言います。
他にもウォーターポットという商品もサイズが適しています。
これらのBOXを元にホルダーを開発することにしました。

決して先端が上を向かないBOXを穿刺時の導線を考慮した所に置きたい!
そう決心をして開発することにしました。

開発プロセス

これだ!っというBOXを決めてからはサイズをミリ単位以下で測定し、理想となる形を模索していきます。
(写真6)

1.測定した数値を元に3DCADソフトで形状を試行錯誤する。
2.スライサーソフトで3Dプリンタのデータへ変換していく。
3.データを元に3Dプリンタで出力することになります。
(写真7)
ホルダーやスタンドが理想通りになるかはトライ・アンド・エラーの繰り返しとなりました。

思っていたより強度が弱くパーツが折れてしまったり、サイズ測定ミスで思っていた形状にならなかったりしました。
3Dプリンタあるあるなのですが、素材の定着も苦労もしました。
それなりの苦労はしましたが現段階では満足しても良さそうなものが出来ました。

透析室で現場の声から生まれた針廃棄用BOXホルダー完成です。
現在パラマウントベッドが採用している柵の為の穴に適したサイズでホルダーを作成しました。
他社の物でも点滴ポール用に穴があいていると思いますので、ある程度は流用出来るのでは無いかと思います。

厳密にこのサイズで作って欲しいなどご相談が有りましたら、お気軽にご連絡いただけると嬉しく思います。

3Dプリンタ動画(52秒)(新しいタブで再生します。ご注意下さい!)


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